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完全無人のクリーニング店が神戸にOPEN

保健所の許可を得て

その一方で、ワイシャツの「のりなし」「のり固め」が無料で選べるカードが置かれているほか、同じくカードを品物と一緒にロッカーに入れておくことで、汗抜きドライや撥水に折目といった付加価値加工、デラックスコース等の有料オプションを付けることができる。

また、有料シミ抜きを希望する場合は、専用カードにシミの場所やシミの種類を書いて、品物と一緒に預ける。仕上がり日は朝9時までの受付の場合、3日後の朝10時、ダウンのクリーニングや追加加工がある場合は、7日後となる。

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引き取りロッカーは、ずらりと72口


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ITクローク摂津本山店の外観


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オプション等をつけたい場合、希望するカードを品物と一緒にロッカーに入れる


同店を立ち上げた理由について石井社長は、「数年前より慢性的な人手不足や賃金単価の上昇などが大きな課題となっている中、クリーニングの受け付けは、お客様の要望を正確に聞くために外国人労働者では難しい。そのため出店もできず、売り上げが上げられないと感じていた時、アメリカでランドリーロッカーを見て、大きなヒントを得た」という

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保健所の検査確認証(下写真)を持つ石井社長


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ボックスに入らない品物は受け付けていない


そこで感じた複数の問題点をクリアさせたものが、今回の仕組みだとした。しかし、人件費がかからない、人の手配・教育が必要ない、24時間365日稼働で利便性が高いなどが強みとなる一方で、多額の初期投資が必要になる、ロッカーに入るサイズの物しか預かれない、クレカの決済手数料が通常よりも高額になる、等の弱みもあるとして、「今は一長一短であることを理解しつつ、試行錯誤しながら顧客の獲得をしている段階なので、赤字を垂れ流している」と苦笑する。

また、「新型コロナウイルスにより、当業界だけでなく世の中が急速に変化している。なかでもリモートワークについては、コロナが落ち着いた後も推進する可能性があり、実際にそうなれば業界にとって大きな売り上げ減少要因となる。売り上げや利益を取るための『新しいこと』は企業にとって重要なことだが、従業員に夢と誇りを与えることのできる『新しいこと』も同時に実践していくことこそが、10年後の未来を夢見る権利のある企業になっているのではないかと思っている」と述べた。

見学した同業者からは、「面白そうだけど、まだだいぶ早いかな」との声が聞かれたが、それは石井社長も承知の上で始めており、「3年くらい、赤字でいいんじゃないか」とも話していた。

需要低迷が続くクリーニング業界には、長らく閉塞感が漂っているが、「新しい取り組みにチャレンジする心をなくしてしまったら、企業は終わり」だとして、従業員に夢と誇りを与えることのできる新しいことへのチャレンジに踏み切った石井社長と同店の今後に、大いに期待したい。



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