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首都圏のコインランドリーで連続強盗

――「ピエロ」を運営するセンカクを取材


一般的にコインランドリーは無人ビジネス。店舗にスタッフが常駐していないケースが多いことから、いかにして犯罪を未然に防ぐかが一つの課題と言えるだろう。

これまでにLBMでも小学校の教頭、自衛官による下着の窃盗や24時間営業の店内でたむろする中高生を逮捕した事件などを報じてきたが、2019年8月以降、首都圏のコインランドリーを中心に、精算機や両替機などが壊され、現金を持ち去られる事件が相次いだ。


今回は被害に遭った一社であるコインランドリーチェーン「ピエロ」を運営する㈱センカク(東京都新宿区)の本社で取材を行い、事件の経緯と現況について当事者から話を伺った。

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一連の事件は既にテレビ、新聞などで報道されている通り、2019年8月以降、東京、神奈川、埼玉、千葉の各都県で立て続けに発生したもので、ピエロでは10月まで、37店舗で52件の強盗が発生。電動工具とバールを使って短時間のうちに精算機や両替機をこじ開ける手口だった。

精算機内の売上金、両替機内の両替金といった現金に加え、破壊された機械代、修理代、撤去費用などを合わせた被害総額は2億円以上にのぼったという。


被害に遭った店舗が12時間以内に営業を再開できるよう、迅速な対応に努めたが、中には同一店舗で3〜4日後に再び同様の手口による犯行が発生するなど、「はじめは対応が非常に難しかった」と振り返る。


当初は同一の犯行グループによるものだと思われたが、防犯カメラに映る人物やナンバープレートが偽造された車などから、模倣犯と思しき人物が登場したことも確認。


同社によると、「犯人の拠点がおそらく東京と神奈川付近だったので、最初はその周辺で発生したが、その後、千葉や埼玉などに広がっていった。

ロケーションで言えば、『車の止められないような店舗なのに…』という場所や、交番が近くにある店で発生したこともあれば、逆に店舗が密集した場所では発生しなかったりもした。おそらく土地勘を優先して及んだ犯行だった」とのこと。当初は精算機のみを狙われていた中、他社のコインランドリーで両替機を狙った犯行が相次ぎ、それに乗じてピエロでも、両替機も狙うケースが増えてきたそうだ。


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無人ビジネスのコインランドリーでは、防犯対策が一つの課題だ(写真はイメージ)

疑いのある人物は逮捕

オーナーは損失に関して、多くは同社の保険に加入(センカクは保険代理店業務も行っている)しており、そこでカバー。センカクが窓口も一貫して行っている為、迅速に対応したという。


そして相次いで精算機が狙われたことから、同社はメーカーと協議の末、破壊実験などを重ね、精算機をロックしている部分が折れにくいよう補強して、簡単には開けられない構造にアップデートした。

一連の事件の収束直前は、防犯カメラの24時間チェックや店舗周辺での張り込みなどの地道な作業も展開したという。なぜピエロが集中して狙われたのかは、現時点では不明で、犯行グループについても疑いのある人物の逮捕の情報はあるものの、まだ確定はしていない。とはいえ、11月以降はこうした被害はパッタリ止まったそうだ。

最後に、このような事件はどのように防げばよいのだろうかを伺ったところ、「極論を言えば、『手を変え品を変え』で開けようとする者が出てくるので、こちらとしても粘り強く対応を行っていき、『これはやれないな』と思わせるしかない。

今後もエンドユーザー様、オーナーの皆様、コインランドリー事業全体が安心して経営を続けられるよう努めてまいる所存です」と述べていた。


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