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リネン工場の現場改善&生産管理術

渓流のような細くて速い生産の流れを作る

伊藤良哉 (いとうよしや)

トヨタ生産方式によるモノ作りには、従来の常識的な方法とは大きく異なる手法が数々有ります。いろいろな意味で一番大きなポイントは、それぞれの工程の能力・能率を最大にして生産する、工程別分業制による「少品種大量生産」ではなく、各工程の生産のタイミングを揃えて、全体の効率を最大にする多能工による「多品種少量生産」だと言えるでしょう。

トヨタ生産方式では「渓流のような細くて速い生産の流れを作れ」とよく言います。反対に「川幅の広い流れのゆっくりとした大河ではだめだ」とも言います。

これを作業工程に置き換えると、工程が次々とつながって、陸上競技のリレーでバトンが次々と手渡されていくように、工程内の仕掛品がスムーズに次々と加工されていくイメージですね。

作業分析・動作分析をする場合に、停滞はムダだと言います。停滞はいつ発生するかというと、理由が何であれ前工程が後工程の能力以上に生産した場合に必ず起きます。どんなにライン内に原材料が投入されても、完成したものしか利益を産みません。毎時完成品になる以上にそのラインに原材料はもちろん、人的労働力、機械設備を投入するということは、ただただ仕掛品を作っているだけ、生産金額に対してコストを押し上げているだけ、ということになってしまいます。

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この記事の著者

伊藤良哉 (いとうよしや)

◉1959年1月生まれ、名古屋出身。

◉1983年全国ドライ新聞社(現ゼンドラ)に記者として入社。

その間にトヨタ生産方式の物の見方・考え方に触れ、クリーニングでの現場改善に力を入れた取材・執筆活動を行う。またその活動を通じて、トヨタ生産方式の産みの親として世界的に著名な元・トヨタ自動車工業副社長の大野耐一氏と出会い、師事して各地を歩く間に精神面・活動面ともに多大な影響と薫陶を受ける。

◉1985年に改善コンサルタントとして独立、1989年には株式会社エムアイイーシステム研究所を設立。さまざまな業種対象にトヨタ生産方式に基づいた現場改善のコンサルティング活動行なう。これまでに手掛けてきた業種は、クリーニング業はもちろんそれ以外に、リネンサプライ・食肉加工業・水産加工業・自動車関連部品工場・米穀業・窯業・塗装業・染色工場・測量事務所等と多岐に渡っている。また作業改善・体質改善だけでなく、新人社員研修、工場管理者研修、マニュアル作成等、講演やセミナーも同時に行う。

◉「クリーン忍術心得帖」パート1・2を著作(ゼンドラ既刊)を筆頭に著作も数多い。


主な著作

・「クリーン忍術心得帖 Part1〜11」

・「現場改善実践マニュアル」

・「アパレルの仕上げ術・1〜3」

・「アパレルの仕上げ術・Q&Aハンドブック」

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