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コインランドリー刑事

土足禁止でほぼ有人という「簡単には真似できない」コインランドリーを紹介してどうする!

藤原健一 (ふじわらけんいち)

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見た目はフツーのコインランドリー大型コインランドリーフレッシュクリーン西葛西店

コインランドリーの記事を書かせてもらっていてこんな事いうのもなんですが、「果たして私は読んでいる方がちょっとでも参考になる記事を書けているのだろうか」という事です。
たとえチェーン店のコインランドリーでも、それぞれの店舗ごとにそれぞれの特色があります。
それは地域性だったり、建物や敷地の制約から来るものであったり、オーナーの好みだったり、お客様の層であったり、千差万別です。
ですから、「ほら、こんなコインランドリーがあるよ」と記事にしても、はたしてそれは意味があるんだろうか、などと自問自答してモチベーションが下がったりするわけなんですが、「まあちょっと読んでみてくださいよ、なんかプラスになるかもしれませんよ」と逃げてみましょう。

くだらない枕はこれくらいにして、今回ご紹介するのは東京の右のはしっこのほう、江戸川区西葛西の「大型コインランドリーフレッシュクリーン西葛西店」(東京都江戸川区中葛西8丁目6番)です。
機器構成はすべてアクア機、洗濯乾燥機が16キロ2台、10キロ2台、乾燥機は14キロが4台、25キロが2台、ドラム式洗濯機が10キロ2台、どれもハイアールアクアセールス株式会社(現アクア株式会社)時代の10年以上前の古い形式の機械。

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土足禁止のコインランドリーフレッシュクリーン西葛西店。床はリノリウム

このコインランドリーに入ると、まず気づくのは「土足禁止」というルール。玄関を入ると普通の家のように「上がりかまち」があり、スリッパが並べられています。右手には病院で良く見るスリッパ殺菌器。外履きのまま入るのが当たり前の業態において、これはかなり珍しい取り組みで、私の調べでは都内にたったの6店舗しかありません。
もうひとつ珍しいのが、田中治子さんという看板娘がいること。
治子さんは96歳(2026年3月当時)の背筋がピンとした素敵なご婦人。
お店から約1キロほど離れた自宅から毎日歩いて通っているそうで、朝7時から午後2時くらいまで、入り口の左側になんとなーく座っているそうです。
お客様が来ると座ったまま「いらっしゃいませー」と言いますが、接客はそれくらいで、あとはお客様が機械を利用する毎にフィルターの掃除をしています。
床は普通のリノリウムなので、家庭用の掃除機でゴミを吸い取り、手で絞った雑巾とモップで拭き上げています。

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入り口のあがりかまち。ここで靴を脱いでスリッパに履き替える」

その店内は驚くほど清潔です。また、機械も少なくとも十年以上使われているとは思えないほど、傷やへこみなどかありません。
その理由が、土足禁止であること、そして96歳の治子さんが行うきめ細やかな掃除にあるのは明確です。

取材当日は治子さんの娘の小林香代子さんも一緒に待ち合わせ、インタビューはほとんど香代子さんに答えていただきました。

デカ:こんにちは。おっ、株式会社東和コインシステムのシールがありますね。
香代子さん:もう40年前から東和さんと付き合って。東和さんマメですよすごく。ちょっとでも調子悪いと、いつでも来てくれる。
デカ:2014年に新発売のHCW-5107Cもありますね。
香代子さん:この機械、一号機なんですよ。珍しいでしょ。製造番号1番。新発売で、一番に入ったのコレ。おそらく日本で一番最初にサンヨーからアクアになった時の機械。すごいでしょう。
デカ:ほとんだ、製造番号1番!すごいキレイですよね。12年は経ってる。

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製造番号1番のHCW-5107C

香代子さん:これ土足で入られたら、こんなに綺麗に持たない。
デカ:土足禁止って珍しいですよねー。
香代子さん:地下鉄東西線のガード下にあるでしょエムズさん。あそこが昔、土足禁止だったんですよ。土足禁止が良いな、とは思っていたの。良い発想だな、と思って。

東京メトロ東西線の西葛西駅から東に500メートルのガード下にかつてあった、「コインランドリーエムズ葛西店」(現コインランドリーUN LAPIN)。かつてそこも土足禁止で、「いいな」と感じたことがきっかけだったそうです。

デカ:スリッパとかは年に何回ぐらい新しいの買いますか。
香代子さん:へたったら。
デカ:スリッパ殺菌機はいつごろ導入されたんですか。
香代子さん:最初から。
デカ:最初から!へぇー!
香代子さん:でもランプが切れてるから、殺菌されてるかどうかわからない(笑)

中を開けてみると、確かにランプが切れています。でも、この病院で良く見るスリッパ収納器が、このコインランドリーの清潔感をアップさせています。見た目も大切です。

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病院とかで良く見るやつ

香代子さんは私に、治子さんと握手するよう促します。
香代子さん:手で雑巾を絞って、モップで拭く。すごいですよ手のちから。握手してみてください。

実際に握手すると驚くほど力強く、年齢からは想像できないほどの手の力です。
この手で店舗の清潔を支えています。

香代子さんの「土足で入られたら、こんなにきれいには持たない」という言葉に、この空間を守る確かな意志が感じられます。

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この記事の著者

藤原健一 (ふじわらけんいち)

1969年生まれ、宮城県石巻市出身です。


2002年から東京都内でコインランドリーを調べ歩いてきました。きっかけは母の介護でどうしてもサラリーマンを辞めなくてはなくなり、自宅で模型作家の仕事をするようになったのですが、病気の母とずっと一緒にいて、くたびれてしまったので、息抜きに外出する用事を無理やり作るため、どこでも良いので目標を決めて訪ね歩くのがいいな、また、すぐに制覇できるのではなく、永遠に訪ね歩けるものが良いな、と考え、たまたまその目標が東京都内の全てのコインランドリーだったからです。


その頃のコインランドリーは第3次ブームで、新しいお店がどんどん出来たり、古いお店がどんどん無くなったりと新陳代謝が激しかったので、つい先日行った場所が全く違う様相を呈していたりして、調査がどんどん楽しくなって行き、気がついたらあっという間に3,000軒を超えるコインランドリーに行ってしまってました。


その後、コインランドリーマニアとしてあるテレビ番組に出演して以来、講演や原稿を頼まれるようになり、その取材を通して業界関係者との交流も増えました。


ありがたいことに、ゼンドラの関さんとも、その中の出会いのひとつです。


求人広告を見て2018年からコインランドリーの清掃の仕事も始め、効率的、効果的な清掃方法や売上の伸ばし方にも詳しくなってきました。


この連載では、コインランドリー業界がより良くなるように、私の知識や経験を役立てたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

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