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職人よ、商魂を抱け

安心して選んでもらえる対応とは

なをし屋代表

栗田裕史

先日、とある人気の着物の着付け師さんの教室にお邪魔して、着物お手入れ相談会及びトークショーを行いました。
大きくない部屋の一室だったというのもありますが、20名以上の方にお集まりいただき、立ち見も出るほどの盛況で、やはり着物を着る方のお手入れに対する意識の高さというものを改めて実感した次第です。

トークショーの中で、来場されていた方たちの一番の関心事は、「着物のお手入れのお店はどのように選んだら良いのか?」「どのように頼めば間違い無いのか?」というものでした。
そこで今回は、依頼を受ける立場の皆さんに、どうすれば信頼されるお店になれるのか?その方法などを、着物お手入れ専門店としての経験から私なりに導き出した答えを伝授したいと思います。

まず、着物のお手入れをお客様がご依頼されるお店を探される際には、お店への問い合わせやご相談から始まりますが、その方法としては、主に電話する・メールを送る・お店に行く、という三通りの方法があると思います。
電話の場合、お客様が電話をかけてみて不親切というかやる気の感じられない声、もしくは職人特有の威圧的な態度で対応するお店はまず選ばれないでしょうね。

次にメールの場合、休みでもないのに三日経っても返事しないとか、お客様が詳細を書いて問い合わせているのに、返信が「見てみないと分かりません」みたいにそっけないとかの場合は、多くの方が他のお店に行っちゃうと思います。

ご来店の場合も電話と同様で、ぞんざいな態度で接しているとまず選んでもらえません。
これは断言出来ますが、腕が良い職人は対応も丁寧で親切です。腕が無い職人ほど、相手がお客でもぞんざいな態度で接したりします。何故か?それは、腕が良い職人ほど、自分が誇りを持っている仕事が出来るのは、お客さんがいて求められてこそというのを骨身に染みて知っているからです。

では、どんな風に対応すればお客様に安心して選んで貰えるのでしょうか?
決してへりくだる必要はありませんが、最低限のきちんとした礼儀作法で応対する、これは当たり前のことですね。

必要なのはその先。
例えばお客様から「着物に古くて何のシミか分からない物がついている。直せるでしょうか?」と聞かれたとします。ここで、まだ見てもいないのに「古いシミは直りませんね〜」とか言っちゃうと、お客様は不信感を持ってしまいます。

そうではなく、「古いシミ・変色したシミは状態によって仕上がりも変わるので、実際に見てみないと判断が難しいのですが、生地が傷んでいなければ直せる場合も多いです。もしよろしければ、まずは拝見させていただきます。」といったような答えを返します。これ、ウチのセールストークなんですが、今回は出血大サービス(笑)このように、同じ見てみないと分からないという返答でも、伝えられる情報を偽りなく伝えることでお客様の安心感は桁違いです。

あと、ちょっとしたお手入れ(衿の汚れ落とし・汗抜きのみなど)を嫌がらずに引き受けてくれるお店は、あらゆる困り事の相談に乗ってくれると信頼していただける可能性が高いです。分からないことを適当に答えて後で大変なことになる前に、やはりお手入れに関する知識などを知っておくことは非常に重要です。

仮に職先さんにお手入れ品を出すお店であれば、分からないことはその職先さんにどんどん聞いてみても良いと思います。着物を愛好している方たちは非常に勉強熱心な方も多く、意識が高く知識が豊富な方も少なくありません。

お手入れのお店を選ばれる際には、まずはそのお店が信頼出来るかどうかを常に厳しい目で見ておられます。基本は、どれだけ親身になって相談事に対応してさし上げるかだと思います。

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この記事の著者

栗田裕史

なをし屋代表

なをし屋代表・染色補正師


【国家認定・一級染色補正技能士】

【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】

【国家資格・クリーニング師】


京都の着物お手入れ専門店二代目として生まれ、BtoBのみの業態から、ネットでの集客を中心にBtoCも行う新規事業である、着物クリーニング・染み抜き・染色補正専門店【なをし屋】を立ち上げる。

シミを落とすだけでは直らない、変色・退色・脱色した衣類に高度な色修正を施すことによって、限りなく元に近い状態に戻す、三種の国

家資格に認定された、着物や衣類のクリーング・染み抜き・染色補正の専門家・第一人者。

黄ばみ・変色シミ修復のプロ。テレビ・新聞・七緒など各種メディアで染み抜き・着物お手入れの達人として紹介されています。コワくない職人。


着物クリーニング 染み抜きで想いも救う専門店  京都 なをし屋

https://www.naoshiya-kyoto.com/

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