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シームレス加工のダウン製品、ここが危ない!

近年、通常は縫製するところを縫製せずに、接着や圧着で作られているダウンジャケットやコートが人気商品として売られている。この商品の特徴は、シームレス加工(ノーステッチ加工)と言い、接着する箇所にポリウレタン樹脂をバインダー(接着剤)として使い、生地を貼り合わせて作られる。この加工のメリットは、縫製の際にミシンの針で出来る小さな穴がないので、羽毛の飛び出しや空気の漏れ、雨などの水分の浸み込みなどがなく保温性に優れる点が挙げられる。またシルエットが「スタイリッシュ」だとして好まれる傾向もある。

このようにメリットもあるがデメリットも勿論ある。それが、接着の際に使用するポリウレタン樹脂の経年劣化。ポリウレタンは樹脂の製造から2~3年で日光や紫外線、水分、活性ガス、皮脂、汗、熱、カビ、着用中の負荷などにより劣化(脆化、以下略)がはじまる。劣化が進むと接着部分が剥がれ、羽毛が下に溜まるなどの現象が起きる。ダウン製品で既にこの状態を目にしたことがある方は多いだろう。

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製造から1年で剥がれたダウンジャケット

この加工の製品はドライクリーニングが不可で、手洗いまたはウエットクリーニングを行う。ケアラベルにも取扱い表示はそのようになっているし、付記表示に注意書きがしてあるものもある。

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「加工は永久的ではありません。クリーニングや水洗いで徐々に取れます」とあり、製造年も書かれている

本紙でも、以前からシームレス加工のダウンについて注意喚起のPOPなどを作成したり、記事で取り上げたりしたことが複数回ある。それ程この加工の事故事例が多いということだが、レッツリフォームの高柳光生社長より「まだ1年しか経過していないシームレスダウン(2021年製造のユニクロ品)の事故品があった」との情報をいただいた。このダウンジャケットは、状態は良好できれいであり、大事に着用、今回は初洗いだった。ウエットクリーニング+自然乾燥をしたらシームレス加工部分が剥がれて着られなくなったので縫製して直して欲しい、との依頼があった。高柳社長は製造年から1年で剥がれた事例は初めて見た、とのことだ。

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