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伊藤良哉の現場探訪
5Sは付随作業のムダを省く第一歩
前回は、あらゆる場面でものは増える、増やそうとしないでも増える、反対にものは勝手には減らない、減らそうとしてもなかなか減らない、という話をした。
さて今回はものが増えるということはコストが上がるということ、という点について触れてみたい。
常に現場には、使うものと使わないもの、使えないものが混在している。使うものの中にも、今は使わないが必要なときが来たら使うというような、タイミングによって必要か必要でないかが変わるものもある。現場によっては、使わないものの中には昔から置いてあるが、何に使うのか誰も知らない、というような用途不明なもの、使わない・使えないけどとりあえずそこに放置されたまま時間が経っているもの等々があり、そのような例を挙げればキリが無い。

なのに時折必要な資材が欠品を起こしたりする。ハンガーの段ボールが山と積んであるので在庫は十分だと思っていたら、空けてみたらそれぞれが開梱され使われていて、箱の数と入っている数が一致しない、などということがある。資材管理ができていない、といえばそれまでだが、結果として作業が滞ったとしたら、生産性も何もあったものではない。
作業現場では生産性を阻害するものをムダと呼ぶ。トヨタ生産方式では「現場には七つのムダが潜む」というが、不要なものがある現場はそれだけで場所をふさいでいる。つまり「場所のムダ」だ。これは目に見えて一番分りやすいムダだろう。さらに必要なものと不要なものが混在していれば、必ず探し物が発生する。探すという行為は何も産まない。最初から分っていたら誰も探さない。だから置場作りが大切だ、というのが5Sの原点である。
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さらに話は生産性に及ぶ。一般的に生産性は時間あたり・1人あたりの生産数で計るが、その作業そのものには付加価値を産む正味作業と、その作業を遂行するための付随作業がある。例えばシャツプレスにセットするのは正味作業だが、包装のためにハンガーを取るのは付随作業である。この作業の生産性を上げるには、セットの手作業を標準化していかに要領よく効率的な作業にするかという作業改善と、ハンガー供給を自動化して付随作業を減らすか、という2つの考えがある(機械化・自動化の功罪はここでは省く)。
しかし実際の作業はそれだけではない。細かな具体的な話は省くが、ハサミを使ったり筆記具を使ったりセロテープを使ったりと、いろいろと正味の作業以外にも付随する作業がある。
その時に必要とするものがすぐに見つからなかったり、使おうとしたら上手く使えなかったり、欠品を起こしていたらどうなるか。正味作業をストップして探し物を始める。これらは「もの」が原因で発生するムダ作業である。いくら作業のスピードを上げても、ムダ作業が日常的に発生していたら、生産性向上も何もあったものではない。そんな細かいことを、と思われるかもしれないが、これらが日常的に、さまざまな工程で発生しているとしたら決して小さな話ではない。あらゆる改善の前にまず5S、といわれるのもそのためだ。
今年の3月のこの連載で、5Sの第一歩が整理であるということから、具体的な作業として「台帳の作成と整備」ということについて触れたが、けっきょく話はここに戻る。現場で何が使われているのか、何が必要なものかを明確に標準化することが何にもまして大切なことであることを、ここにあらためて強調しておきたい。(次号に続く)
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