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経済産業省がコインランドリー業界に関する研究報告 業界ガイドライン、適合マークなど方向性
経済産業省は、コインランドリー業界の持続的な成長に向けて、「コインランドリー業界の現状と展望に関する研究会」報告書を公表した。委員には、日本コインランドリー連合会・宮澤敏文理事長、㈱ジーアイビー(ブルースカイランドリー)・鈴木衛代表取締役、㈱アスファクト(ランドリープレス)・和田剛代表取締役会長、群馬商事㈱・羽鳥芳一代表取締役、㈱ホームドライ・太白守貞常務取締役らが参加した。
市場拡大、新たなビジネスモデル構築へ
近年、コインランドリーは共働き世帯・高齢者世帯の増加などにより、洗濯時間の短縮など家事負担を軽減するサービスとして需要が高まり、店舗数も急増。また、災害時において洗濯は生活の衛生面のみならず精神の健康面にとっても重要であり、自治体と協定を締結し、被災地に派遣可能な移動式コインランドリー、LPガス発電機や炊き出し機材を備えた災害対応ランドリーの整備を行う事業者も見られる。
社会に欠かせない存在となりつつあるコインランドリーが、今後も持続的な成長を実現するためには、市場拡大や新たなビジネスモデルの構築など、業界全体で更なる取組が求められるが、こうした状況を踏まえ、経済産業省は「コインランドリー業界の現状と展望に関する研究会」(座長:西野一橋大学副学長経営管理研究科教授)において、業界の現状と課題を整理し、業界内の認識共有を図るとともに今後の方向性について検討を行った。
ニーズ高い大物洗い、キャッシュレス
報告書によると、コインランドリーの全国店舗数は約26,000店舗で、市場規模は約1,155億円と推計。家事時間の短縮が志向される中、まとめ洗いや乾燥時間の効率化等を求める傾向が高まり、大量に洗えて乾燥までできるコインランドリーの需要が高まっている。加えて、花粉やダニ等のアレルギー対策等から、布団や毛布を丸洗いしたいという需要も、市場拡大の要因となっている。


日本コインランドリー連合会が行ったアンケートによれば、利用者層の属性は性別では、女性が約6割、男性が約4割となっており、また、年齢層では、30代から50代が多かった。
利用理由については、「布団や毛布が洗濯できるから」が最も多く、「雨の日などに洗濯物を早く乾かしたいから」、「たくさんの洗濯物を一度に処理できて時短だから」といった家事負担軽減に関する理由が上位にきている。
消費者ニーズ(機能等) としては、コインランドリーの機能について、アンケートの回答者の6割が「キャッシュレス決済」を「ぜひ使いたい」と回答している。加えて、約4割が「洗剤/柔軟剤を選べる」、「カフェが併設されたコインランドリー」を「ぜひ使いたい」と回答しており、ゆったりした時間を過ごしたいニーズがある。
また、清潔さや上質な仕上がり等の付加価値の高さや、待ち時間の居心地の良さ等の体験価値の高さが顧客満足度を高める傾向にあるという。
競争激化で経営に苦しむ事業者も
コインランドリー事業者においては、サービス品質向上のための様々な取組を行っている事業者も登場している。一方で、業界全体としては、店舗数の増加に伴う競争の激化、電力・ガスの料金や人件費等の高騰が見られるものの、それらの価格転嫁がしにくい業態であること、古い施設や設備のイメージにより、安全や衛生に不安を感じる消費者が一部にいること、新規出店や店舗運営に当たって、地域住民理解の促進や制度上の困難に直面する場合があること等が課題である旨、研究会委員から指摘があった。
また、こうした現状・課題に対しては、需要創出や利用拡大策への注力、店舗の高付加価値化の推進、業界の衛生やサービス基準の検討の必要性、防災や災害対策など社会インフラとしての位置づけ向上に向けた取組及び認知の拡大、出店や運営上の課題への対応等について、活発に意見が交わされた。 こうした研究会での議論結果を踏まえ、コインランドリー業界が抱える課題と今後の方向性についてとりまとめた。
現状の課題としては、利用者数は増加傾向にあるものの、店舗数の増加に伴い競争が激化し、経営が苦しい状況にある事業者が増えている。また、電気ガス料金や人件費高騰などを価格転嫁しにくい業態であるため、店舗の整備・高付加価値化に向けて一定の支援が必要であること等が指摘された。
今後の方向性
① 需要創出・利用拡大
例えば、業界全体が業界団体のリードの下で一体となって、コインランドリーを利用したことがない消費者等に対して、家事負担の軽減効果等の活用メリットを周知する取組を行うことが考えられる。その際、「コインランドリーの日(5月28日)」などを活用し、業界を挙げたイベント開催等を行うことも需要創出と利用拡大策として効果的と考えられる。
② 業界全体の品質の底上げ・向上
業界内の衛生管理やサービス水準の底上げや、積極的に取り組む事業者の「見える化」などに取り組んでいくことが重要と考えられる。
具体的には、衛生やサービスに関する業界ガイドライン(衛生・安全・環境に関する基準等)を策定し、業界内の取組を促進することが一案。業界全体の更なる品質の底上げに向けては、策定した基準を踏まえ、同基準を遵守する企業に対して業界団体が「適合マーク」を付与する取組等を行うことによって、消費者へのPRや差別化を図っていくことなども考えられる。
③ 出店運営上の課題への対応等
有事においてコインランドリーを活用した実績のある自治体や事業者の経験などを踏まえつつ、新規の事例創出に向けた課題を整理するとともに、今後の対応を後押ししていくための先進事例の周知やノウハウ共有等を図っていくことが重要と考えられる。


また、地域ごとの届出の要否について一覧で確認できるようにすることや届出を要する場合の様式の統一化の働きかけ等、事業者の利便性を高める方策や工夫について業界団体等において取り組むことが必要と考えられる。
用途地域規制への対応としては、一定規模以上のコインランドリーは、建築基準法第48条によって定められる用途規制により、「第1種低層住宅専用地域」等の用途地域への出店が規制されている(特例措置によるいわゆる「但し書き許可」を得た場合を除く)。
他業界の事例なども参考に、「但し書き許可」を得るためのプロセスの簡素化や基準の明確化を追求しつつ、関係者において引き続き対応が検討されることが望まれる。その際、特例措置を通じた新規の出店事例の蓄積やそのノウハウ共有等がなされることも必要と考えられる。