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コインランドリーの可能性を紐解く!愛される店舗の作り方

コインランドリーが、誰かの人生の「救いの場所」になる瞬間

コインランドリー女子|ミユキ (こいんらんどりーじょし みゆき)

こんにちは。コインランドリー女子のミユキです。

過去のコラムでは、私がコインランドリーにハマったきっかけを詳しくお話ししていなかったので、今回はそのことに触れつつ、コインランドリーが「救いの場所」になっている事例をいくつかご紹介します。「救い」なんて大げさであまり好きな表現ではないのですが、それでも、やはり今回は、私自身がコインランドリーに出会って感じたこの感覚を大切にお伝えできたら、と思います。

1. 私がコインランドリーに救われた日

私がコインランドリーを初めて利用したのは、2018年のことでした。

私は身長142センチと、とても小柄です。さらに、中学3年生の時に首の手術をした影響で、現在も首の動きに制限があります。この2つの理由から、私にとって、背伸びをして、動きに制限のある首を上へ向けなければできない、洗濯物を「干す」「取り込む」という作業は、身体への負担が大きいものでした。それでも当時は、苦手なことを補ってもらう手段があるなんて考えもせずに、渋々と自宅で洗濯物を干していました。

転機は、ある冬の寒い日でした。外に干した洗濯物が、何日経っても乾かず途方に暮れていた時、数日前に職場の同僚が話していた「最近のコインランドリーって綺麗になったよね」という言葉を、ふと思い出したのです。

「そうか、コインランドリーの乾燥機を試してみようかな」

そう思った私は、凍えるような寒さの中、乾かない洗濯物をバッグに詰め込んで、恐る恐るコインランドリーの扉を開けました。

初めて利用したコインランドリー。今は改装して綺麗な店舗になりましたが、私の原点の場所です。

初めてのことで、緊張しながら回した乾燥機。30分後に乾燥が終了した洗濯物を取り出してみたら、あったかくてフカフカになっていて、めちゃくちゃ感動しました!

しかも、これなら私の苦手な「干す」「取り込む」作業をしなくていいんだ、と気づいた時には、心の底からホッとしたのを覚えています。

2. 苦手を手放したら、新しい世界が開けた

コインランドリーを使い始めてからの変化は、とても大きなものでした。

洗濯物を「干す」「取り込む」というストレスから解放されたことはもちろんですが、それ以上に大きかったのは、私の気持ちの持ち方が変わったことです。

それまでの私は、「苦手なことも頑張ってできるようにならなければならない」と思い込んでいました。しかし、コインランドリーに出会ったことで、「苦手なことは苦手だと認めて、便利なものに頼っていいんだ」と初めて肩の力が抜けたのです。

そんな頃、「最近コインランドリーにハマっている」という話を、地元のウェブサイトを運営している友人に話したところ、「コインランドリー情報を記事に書いてみない?」と声をかけてもらえました。

抱え込んでいた「こうあるべき」を手放したとき、不思議なことに、心と時間にぽっかりと新しいスペースが生まれました。その空いたスペースに、もともと好きだった「文章を書くこと」「写真を撮ること」「新しい場所を開拓すること」という得意なことが自然と流れ込んできたのです。

これがきっかけで、私の人生は大きく動き出しました。その後、自分のブログを立ち上げ、全国のコインランドリーを取材するようになり、たくさんの店舗や関係者の皆さまに出会い、今日の私があります。

2019年から「コインランドリー女子のブログ」を立ち上げた

ブログで最初に取り上げたのは、東京の「フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー」さん。とにかく一番オシャレなコインランドリーに行こうと思って(笑)

コインランドリーEXPOに登壇させていただくようになったのは。2021年から。初はインデックス大阪でした。懐かしい!

コインランドリーは、私の苦手なことを引き取ってくれた場所。

私の好きなことを再確認させてくれた場所。

そして、私に新たな夢を見させてくれる場所。

だからこそ、私はずっとコインランドリーへの感謝を持ち続けているし、この場所が持つ「便利以上の素晴らしさ」を自分の言葉で伝えていきたいと思っているのです。

3. コインランドリーに救われた人の声

私のように、コインランドリーで人生が大きく変わったというのは、少し極端なパターンかもしれません。それでも、私が各地の店舗で出会ったり耳にしたりしたお客様たちからは、何度も「コインランドリーに救われた」というリアルな声を聞いてきました。その中で、特に印象に残っている出来事をいくつかご紹介します。

【ケース1】

ある店舗を取材した時のことです。店内にお客様が自由に感想を書き込める「ノート」が置いてあり、そのページをめくっていると、1歳と生後2ヶ月の男の子を育てる若いママさんの、こんな切実な書き込みが目に留まりました。

店舗に置いてあったノート

「主人が子どもを見ていてくれる間に、いつもここに来ています。この時間だけが、私にとって唯一の『自分のための時間』です。家では常に子どもの泣き声に追われていますが、ここに来ると不思議と心が静かになります。『たかがコインランドリー』と言われるかもしれないけれど、私にとっては『されどコインランドリー』なんです」

毎日、幼い子どもを育てるママにとっては、気晴らしにカフェへ行くことすら簡単ではありません。しかし、「洗濯物を回す」という日常の家事名目であれば、堂々と外の空気を吸いに行くことができます。その唯一の外出先であるコインランドリーが、ピンと張り詰めた糸をそっと緩めてくれる貴重な空間になっていたのです。日々の育児に追われ、心のコップから水が溢れそうになっている人にとって、誰にも邪魔されず、ただ「無」になれる場所があることの貴重さを教えられました。

【ケース2】

ある日は、乾燥機の仕上がりを待っている高齢の女性とお話しする機会がありました。

その女性はご主人を亡くされて一人暮らしをしており、「家に一人でいると、どうしても孤独感が強くなってしまうのよ」とぽつりとおっしゃいました。そして、ご主人の思い出や今の暮らしを色々と語ってくれたのです。

「このコインランドリーに洗濯物を持って来ると、なんだか世間と繋がっているような気がして安心するの。時々、こうやって他のお客さんとも言葉を交わせるしね」

私は本業が社会福祉士なので、ついつい「地域のサロンとかに行ったりしていますか?」と聞いてしまいましたが、彼女は笑って「私にはこの場所がちょうどいいのよ」と穏やかに微笑みました。せっかく楽しく話していたのに少しお節介だったかなと反省しつつ、彼女にとってこの場が、無理なく社会と繋がりを感じられる「小さなサロン」として機能しているのだと感じました。

【ケース3】

私の知り合いの男性は、仕事帰りの深夜によくコインランドリーに行くそうです。

「深夜のコインランドリーって、すごく静かなんだよね。誰もいない空間で、洗濯機が回る音を聞いていると、日中のざわついた頭の中がだんだんクリアになっていくんだよね」

彼は洗濯が終わるまでの間、ただ椅子に座ってぼんやりと過ごすそうです。

コンビニやファミレスも24時間営業していますが、そこには明るすぎる灯りや人々の会話が溢れていて、静かに一日をリセットするには、彼曰く「明るすぎる」「うるさすぎる」んだとか。コインランドリーの適度な薄暗さと、黙々と働き続ける機械の音は、彼にとって、静かに今日をリセットできる場所になっているのです。コインランドリーは「無機質な空間」と言われますが、この無機質さこそが、現代人の心にそっと寄り添う「ちょうどいい場所」になっているのです。

夜のコインランドリー。この灯りにホッとする人がいる

4. お客様のストーリーに想いを馳せること

コインランドリーは無人店舗であることが多く、オーナーの皆さんが、お客様一人ひとりのドラマや背景を直接聞く機会は、あまりないかもしれません。

しかし、表立って口に出されることはなくても、「この場所があって本当によかった」、そう心の中で感じているお客様は、きっとたくさんいらっしゃいます。

オーナーの皆さまが日々の掃除を整え、明かりを灯し、安全で快適な空間を守ってくれていること。その丁寧な積み重ねが、今日もどこかで、誰かの孤独を温め、人生の重荷をそっと下ろすための優しいシェルターになっています。

「洗濯物を持ってくるお客様には、一人ひとりにストーリーがある」ということに、ふと想いを馳せていただけたら、コインランドリーを愛する一人として、これほど嬉しいことはありません。

この記事の著者

コインランドリー女子|ミユキ (こいんらんどりーじょし みゆき)

身長が低く、「洗濯物を干す・取り込む」という作業に負担を感じていたが、2018年、たまたま利用したコインランドリーでその悩みから解放され、人生が変わるほどの衝撃を受けた。

以来、コインランドリーの魅力を伝えるべく、全国の店舗を自ら取材する「コインランドリー女子のブログ」をスタート。

独自の視点が評価され、2021年からは「コインランドリーEXPO」にてアワード選考委員や講師を務めている。

本業は社会福祉士。地域福祉の専門家として、コインランドリーが単なる洗濯の場を超え、誰もが心地よく過ごせる「地域に根ざした居場所」になることを願って発信を続けている。

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