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コインランドリーの可能性を紐解く!愛される店舗の作り方
日本のコインランドリーの歴史と、先陣を駆け抜けたアクアの歩み
こんにちは!コインランドリー女子のミユキです。
今回のコラムは、コインランドリー好きとして、ずっと深掘りしてみたいと思っていた「日本のコインランドリーの歴史」についてです。これを執筆にあたって、貴重な資料である『コインランドリーの歴史』を、全国コインランドリー連合会さんからお借りすることができました。さらに、業務用コインランドリーを日本で初めて開発された「アクア株式会社」(旧・三洋電機株式会社)さんからも、回答にご協力いただくことができました。
日本のコインランドリーの歴史と、いつの時代も先陣を切って業界を支え続けてきたアクアの歩みをお届けいたします。
1. 日本のコインランドリーの夜明け
日本のコインランドリーの始まりは、戦後まもない時代にさかのぼります。1953年(昭和28年)東京・品川に、当時発行されたばかりの10円玉を使う「1回10円の有人式ランドリー」が誕生しましたが、約1年ほどで閉店してしまいました。その後、1956年(昭和31年)に東京や関西方面で小規模な無人営業型の店舗が登場したものの、こちらも長くは続かなかったと言われています。
そして1963年(昭和38年)東京オリンピックの前年に、東京・北区の赤羽台団地に、コイン式洗濯機4台と乾燥機8台を備えた本格的な営業用コインランドリーが誕生しました。オリンピックを控えて、日本中がエネルギーに満ちあふれていた最中にコインランドリーは誕生したんですね!
さらに、オリンピックイヤーの1964年(昭和39年)には、原宿のマンション地下に床面積80坪、洗濯機26台・乾燥機4台という巨大なアメリカ式スタイルの店舗がオープンします。ただ、当時はこの巨大スタイルは一般のライフスタイルにあまり定着しなかったようです。
そんな中、日本のコインランドリーの発展に欠かせないのが「銭湯」との出会いです。銭湯併設はどこが一番初めなのか諸説あるようですが、1967年(昭和42年)に東京都千代田区の「万世湯」が銭湯の中庭にセルフサービス式のクリーニング店を開業し、翌年には無人式コインランドリーに切り替えたことが、浴場多角経営の草分けと言われています。その後、1971年(昭和46年)開業の東京・高円寺「小杉湯」などが、現在につながるスタイルの先駆けとなりました。
水のインフラやボイラーを持つ「銭湯」にコイン式洗濯機が並ぶ光景は、お風呂のついでに洗濯を済ませられるという昭和のライフスタイルとして大ヒットし、全国の銭湯へ爆発的に広がっていきます。1976年(昭和51年)には、東京都の公衆浴場の約30%にコインランドリーが設置され、都内の全コインランドリー約2,000店舗のうち、実に700店舗が浴場業者による兼業だったそうです。
2. 三洋電機が切り拓いた、国内初業務用洗濯機への挑戦
黎明期のコインランドリー日本市場は、ノージ、GE、スピードクイーンといった外国製の機器によって開拓されました。そんな中、国内メーカーも本格的に業務用市場へ参入していきます。その先頭を走ったのが、アクアの前身である三洋電機でした。
三洋電機は1947年(昭和22年)に設立され、1953年(昭和28年)に日本初の噴流式電気洗濯機を、その2年後には渦巻式を発売し、「洗濯機のサンヨー」としてその名を全国に広げた、まさに洗濯機のスペシャリストです。
1965年(昭和40年)には米ヒュービッシュ社との技術提携を経て、業務用洗濯機の開発へ本格的に着手しました。滋賀県・琵琶湖畔にあった当時の工場には「“洗う”機械については何でも挑戦しよう!」という、技術者たちの熱い方針があったそうです。
洗濯機のベース技術を持っていた同社にとって機械の製造自体は難しくなかったものの、海外の業務用洗濯機の仕様をそのまま持ち込むのではなく、日本のユーザーの使い勝手に合わせて操作方法を徹底的にカスタマイズするなど、並々ならぬ試行錯誤が重ねられました。
そんな技術者たちの努力が実り、1971年(昭和46年)11月に国産初のコイン式全自動洗濯機「SW-5100C(2.5kg)」を販売します。当時のカタログには「コイン投入であとは全自動」「お金儲けする洗濯機」「レンタル時代の新兵器登場!」といったキャッチフレーズが躍っていました。
その翌年の1972年(昭和47年)にはコイン式ガス乾燥機「CD-361C(2.7kg)」を発売。さらに1975年(昭和50年)の中型コイン式ガス乾燥機「SCD-351C(7.2kg)」、1981年(昭和56年)の国内初となるドラム式全自動洗濯機へと、技術の歩みは止まることを知りませんでした。
海外製品の模倣ではなく、日本の暮らしに寄り添ったモノづくりを追求し続けた三洋電機の歩みこそが、現在の日本の、清潔で便利なコインランドリー文化の土台を作ってくれていたのですね。当時の技術者の方々に深い敬意を感じます。
3. 社会の変化と、マスコミ報道を乗り越えての進化
1970年代後半、コインランドリーは空前の人気となり、女性向けメディアでも取り上げられるようになりました。当時は高度成長期の真っ只中であり、共働き世帯の時短ツールとして、また一人暮らしの若者や地方出身者のコミュニティーの場としての役割も果たしていたようです。

しかし、順風満帆に見えた1981年(昭和56年)、広島衛生局が市内のコインランドリー機器の付着細菌数を発表したことをきっかけに、マスコミが一斉にコインランドリーの衛生問題を取り上げるようになります。1980年代は、衛生面への厳しい目が向けられる試練の時代でもありました。
こうした逆風を真摯に受け止め、業界は大きな転換点を迎えます。全国各地で業界団体が発足し、衛生管理に関する自主基準や厳格な指導要綱が次々と定められました。店舗の定期的な清掃や消毒、洗濯槽のメンテナンス体制の強化など、事業者全体で「誰もが安心して利用できる空間づくり」への意識改革が徹底されていきました。行政と業界が一体となって安全性の向上に努めたこの地道な歩みこそが、世間の不安を払拭し、今日の信頼を築き上げる基盤となったのです。
信頼回復に向けた業界全体の取り組みが進む中、メーカー側からも新たな技術や工夫で現場を支える動きが加速しました。三洋電機においても、1986年(昭和61年)にコイン式スニーカーランドリーを発売して上履き洗いに悩むお母さんたちの救世主となり、1987年(昭和62年)には13.0kgの大型コイン式ガス乾燥機「SCD-3130GC」を発売して大物洗いへの対応を強化します。そして1990年(平成2年)には、プリペイドカードを利用する「カードランドリー」機器を発売しました。コインの盗難リスクを減らせるだけでなく、お店側のコイン回収の手間や、ユーザー側の両替の手間をスッキリ解消し、固定客の獲得にもつながる画期的な仕組みとして多くの店舗に導入されました。
4. 全自動化からIT・IoTへ!利便性を極めた革命の歩み
そして2000年代に入ると、コインランドリーの利便性を劇的に転換させた、洗濯から乾燥への移し替えが不要な「コイン式全自動洗濯乾燥機」が登場します。2001年(平成13年)に東静電気(現エレクトロラックス・プロフェッショナル)が、続いて2003年(平成15年)に三洋電機が全自動洗濯乾燥機をリリースしました。
洗濯から乾燥への移し替えが不要で、洗濯物を放り込んだら、終わるまでの1時間は別の用事を済ませられるという圧倒的な時短の魅力は、ユーザーのライフスタイルを根底から変えました。これにより、コインランドリーはかつての「遊休地の活用型ビジネス」から、人々の暮らしを支える「なくてはならない主役級のビジネス」へと大きな進化を遂げたのです。
また、アクアの機器には音声ガイダンス機能、ドラム洗浄機能、電解水やオゾンによる除菌機能などが搭載され、どんどんバージョンアップしていきました。さらに、2002年(平成14年)に「ITランドリー」、2017年(平成29年)には「Cloud IoTランドリー」をリリースし、無人経営であってもスマートフォンで機器の運転状況や売上管理ができるようになりました。これにより経営のハードルがグッと下がり、より多くの方がコインランドリー事業に参入しやすい環境が整っていったのです。

こうした時代のうねりの中で、三洋電機のDNAは、三洋アクア、ハイアールアクアセールス、ハイアールアジア、そして現在のアクア株式会社(2012年〜)へと受け継がれていきました。体制が変わっても、三洋電機時代から息づく「他社の追随ではなく、世にない尖った商品の開発に挑戦する」という妥協のないモノづくりのスピリットは、今のアクアにもしっかりと引き継がれています。
共働き世帯や単身・高齢者世帯の増加、布団やスニーカーなどを洗いたいというニーズ、さらには災害時における地域のライフラインとしての役割など、コインランドリーの存在価値は高まる一方です。そのような中で、アクアはどんな展望を描いているのかお伺いしたところ、「単なる機械メーカーの枠を超え、清潔・時短・省人化をトータルで支える『ランドリーソリューション企業』としての進化をしていくこと」とのお答えをいただきました。
日本のコインランドリーの礎を築き、いつの日も先頭を走ってきた企業のこれからの進化に注目していきたいと思います。
いかがでしたでしょうか?
戦後から脈々と続く日本のコインランドリーの歴史を知ると、いま何気なく使っている洗濯機や乾燥機を見ても、ここまで繋いできてくれた先人達を想って、なんだか感謝で合掌したくなります。(コインランドリーで合掌している人がいたらかなり怪しい笑)そして、私たちも未来のコインランドリーへバトンを繋いで行かなくては!ですね。
今回のことで、私自身知らなかったことがたくさん知れて勉強になりました。ご協力いただきました、全国コインランドリー連合会様、アクア株式会社様、ありがとうございました。コインランドリーの歴史については、今後もいろいろな方にお話を聞いてみたいなと思っていますので、楽しみにしていてください。
それでは、また次回の連載でお会いしましょう!
出典:『コインランドリーの歴史(1991年版)』全国コインランドリー連合会編
協力:アクア株式会社