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売り込み不要! お客から求められるナノブランド的クリーニング経営

クリーニング店は「洗濯業」のままで良いのか

NANOBRAND合同会社

高橋憲示 (たかはしけんじ)

日本のクリーニング業界は大きな転換点に立たされています。衣類のカジュアル化やテレワークの定着、家庭用洗濯機の高性能化などを背景に、従来型クリーニングの需要は長期的に減少傾向にあります。また、燃料費や資材価格の高騰、人材不足、後継者不足なども重なり、多くの事業者が厳しい経営環境に直面しています。一方で、コインランドリーや宅配クリーニングは新たな需要を取り込みながら成長を続けています。

しかし、私はこの状況を単純に「市場が縮小しているから苦しい」とは考えていません。
本質的な課題は、クリーニング店が今なお「洗濯サービス業」という枠組みの中で自らを定義していることにあるのではないでしょうか。

実は、その答えを示す事例がクリーニング業界の外にあります。
2026年10月15日、ゼンドラ株式会社が推進する「こども服の譲渡会」事業が、こども家庭庁の推進する取り組みとして紹介されました。
ボクは以前から、この事業は社会に広がると確信していました。なぜなら、この事業は売上を目的として生まれたものではなく、社会課題の解決から始まった事業だからです。
代表であり仕組家である関誠氏は、「不要になった子ども服」と「必要としている家庭」という地域の課題を結び付けました。その結果、環境省で評価され、さらにこども家庭庁へと波及し、多くの事業者が学ぶモデルとなったのです。





これは偶然ではありません。常々お話ししていますが、事業は大きく二つに分かれます。
ひとつは「成功させようとする事業」。もうひとつは「成功する事業」です。
成功させようとする事業は、売上を求めて市場をさまよいます。常に集客に追われ、価格競争に巻き込まれ、補助金や流行を追い続けます。一方で成功する事業は違います。社会から必要とされることで成長します。だから応援者が生まれます。だから紹介されます。だから行政も企業も巻き込まれていくのです。

クリーニング業界も同じです。衣類をきれいにするサービスだけで市場を奪い合う時代は、すでに限界を迎えています。これから求められるのは、「何を洗うか」ではなく、「誰の困りごとを解決するか」という視点です。



例えば、高齢者の見守り、買い物支援、生活支援、空き家管理、地域配送、子育て支援、福祉との連携、民泊向けリネンサプライなど、地域には無数の課題があります。
そしてクリーニング店には、地域住民との信頼関係があります。
この信頼こそが最大の資産です。私はこれを「課題相殺」と呼んでいます。
地域の困りごとと事業課題を結び付け、互いの強みを活かして解決する考え方です。
売上を生むために事業を考えるのではなく、課題を解決した結果として売上が生まれる仕組みをつくる。
その発想が重要なのです。人口が減る時代に、市場の奪い合いは縮小均衡へ向かいます。
しかし、社会課題は増え続けています。つまり、未来の市場は既に存在しているのです。
売上を追う時代から価値を創る時代へ。顧客を増やす時代から仲間を増やす時代へ。

競争から共創へ。
クリーニング店は単なる洗濯業ではありません。
地域の暮らしを支えるインフラへ進化できる可能性を秘めています。
時代に沿った事業は成功させるのではありません。
社会から求められることで、自然と成功していくのです。

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この記事の著者

高橋憲示 (たかはしけんじ)

NANOBRAND合同会社

ナノブランド合同会社 CEO

新潟大学 非常勤講師

仕組家

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