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付一笑
知識や技術を共有・実践し、考えることが『勉強する』ということ
さて、最後のStudy(スタディ)です。Studyとは勉強することだけど、いちいち『勉強しようね』と言わなくても、クリーニング店さんって驚くほど勉強熱心やよね。
『しみ抜き講習会』が顕著な例でしょうね。流儀や流派は色々あれど、しみ抜き講習会が開催されれば、どの会場でも即満員御礼。同じ流派の講習会に何度も参加したり、いろんな流派の講習会を渡り歩いたりと、しみ抜きを極める努力にはホント頭が下がります。
『洗い方』にしても同じく勉強熱心。部分的な汚れはしみ抜きで対応できても、全体的な汚れは洗い方の工夫でしかキレイにならない。ドライクリーニングでの工夫か、はたまた水洗いでの工夫か。というところのみならず、その間を行く、汗抜きドライやらウエット洗いとやらと多様化していっている。それに伴って、洗剤や仕上げ剤も多種多様に揃え、色々試した結果、中途半端な溶剤が工場の片隅で埃を被っている。 また、しみ抜きや汚れ落ち問題の勉強だけでなく『リフォーム』の勉強も熱心やね。
これらはすべて、お客様にキレイにしてお返ししたいという誠意ある思いの表れなんやろうね。お客様から「○○クリーニング店に出したらどこよりもキレイになって返ってきた」「やっぱりこの店に出して大正解やった」「これからもこの店に出そう」という声が聞きたい。キレイさの追求である誠意を売り上げ向上に繋げたいと思っている。しかしほんまに、その勉強に費やした時間や費用が、集客や売り上げに反映できているんやろか。ちゃんと管理できているんやろか。ただ単に勉強することだけが大事と思っていない?
学生時代には中間テストや期末テスト、模擬テストなるものがあった。それは、普段勉強してきたことの成果の表れで、頑張って勉強すれば良い点が取れ、全然勉強しなかったら当然悪い点でしかなかった。ただ、このテスト結果の積み重ねで就職先や進学先を左右されてきた。経済事情がない限り、誰しも勉強した結果で、希望が叶ったりあきらめたりという経験してきたよね。それは大人になっても同じこと。勉強して高度な技術を身につけたのであれば、その成果として集客や売り上げアップに繋げなければ意味がない。
スキルアップの勉強はひとつ前のSincerity(誠意・誠実)じゃないかなあ。自分が携わっている仕事の、技術への向上心は所属している会社への愛社精神そのものだと思わない?ん?昭和生まれの頑固ババアの考えやって?そうかなあ。だって『しみ抜き』やの『洗い方』やの『リフォーム』やのと一部の人間がその技術を極めたところで、工場内スタッフ全員で共有しないと意味がないじゃない。
例えば、プレス作業のスタッフに『しみ抜き』の処理どころか知識すら教えていないとします。その人は、プレス作業中にしみを見つけると、何でもかんでもしみ抜き場へ渡してしまうものですから、しみ抜き待ち品があふれかえることになります。
または、しみ抜き場に渡すこともできず、有料しみ抜きへ誘うメッセージを付けることもできず、そのまま仕上げてしまい、お客様に『下手くそ』と思われることになります。これでは折角の『しみ抜き部門』があっても台無しやねえ。
そこで、工場内での知識の共有をするための規準作りがいる訳です。仕上げ途中で見つけたしみを、仕上げをしている人が処理してもよい範囲(しみの種類や処理時間)を作り、教育をしていくことが大事。「いやあ邪魔くさいから、しみを見つけたら有料しみ抜きに誘うメッセージを付けて仕上げてしまえ!」なんてことをいつまでもしていたら、マンネリ化して有料しみ抜きに誘えず、ポップ代ばかりが嵩むことになるんやろうね。
いくら『洗い』に秀でていても、プレス経験がなければ、プレスの大変さが理解できない。案外プレスに時間がかかってしまって工場経費を圧迫していることもある。または、プレス従事者が面倒と感じて適当なプレス仕上げをしてしまい、これまたクレームとなる。
一部のスタッフが何らかの高度な技術を習得しても、ただ単に「勉強してます!」なら自己陶酔の世界やん。それを工場スタッフ全員にレクチャーし、実践して、売り上げに貢献するにはどうしたらよいのかと、考えることが『勉強する』ことじゃないのかねえ。できれば工場のみならず、店舗スタッフにも参加してもらい『他社にはない自社独自の売り』として、社内勉強会を実施し、実践できれば最高やね。高度な技術を『宝の持ち腐れ』にしない努力が勉強じゃないかな。
では、このへんでごめんやす。
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