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付一笑
生産性か?品質か?人手不足の中での人員配置 「処理数至上主義」は客離れ、スタッフ離れを招く
今や、人材は売り手市場。求職者が仕事や好条件を選びやすくなっている。所謂、人手不足と呼ばれている状態。そのため、経営者や勤務管理者が「もう少し勤務時間を伸ばしてほしい」とか「もう少しまわりにこころ配りしてほしい」とか「お客様には、もう少し愛想よくしてほしい」と思ったところで、言えない。言いたいけれど、言うと辞められてしまう。辞められたら代わりのスタッフがいない。求人費用もばかにならない。だったら、シフトに穴をあけることなく務めてくれればよい、と考えてしまう。しようがないのか。
人手不足以外に、パワハラやセクハラ、カスハラ等々とハラスメントなるものが大きく問題視されるようにもなっている。確かに、地位を利用したハラスメントは許しがたい。ただ、家庭教育では得られなかった奉仕精神を補う役目として、社会の大人が提供してきた役目も大きかったのにね。会社や上司は、電話応対の仕方、モノの受け渡しの仕方、会話の仕方に至るまで「社会人のマナー」を教えてきた。けれど、教える立場の方がハラスメントに対し過剰反応をおこし、見て見ぬふり。注意も教育もしない世の中になってきた。つまり、人手不足と過剰なハラスメント対応が、労働意識と責任感の希薄さを増長させてきているということ。サービス業にとって、気の滅入る話やね。
クリーニング業界も同じだね。クリーニングの店舗スタッフは、1店舗につき最低一人は必要なので「辞められたら困る」という気持ちが先行する。レジ打ちやクリーニングの知識をひと通り教えはするものの、必要以上に言わない。多少のミスがあっても注意しない。もし、厳しく言って明日から来なくなったら、営業できなくなる。そりゃ大変だ!

工場の方はどうだろう。最低一人は必要な店舗と違い、工場は数人から数十人で運営している。だから店舗の欠員ほど逼迫しない。おまけにこのご時世、売り上げは総体的に減少しているので、自ずとクリーニング処理量も減っている。しかし、どういうわけか欠員がでると即、求人をかける。クリーニング工場で働く人の定着率が悪いからなのか。
そこで、何故辞めたくなるのか、退職理由を聞いてみた。
クリーニング工場で働くスタッフは大半が時給計算です。年々最低賃金が上がり、スタッフの時給の差が少なくなっている。1時間に平均30点仕上げられるAさんと、1時間に平均25点しか仕上げることができないBさんとでは、同じ勤務時間数であれば同じ給料となる。1日6時間労働とすれば、Aさんは180点も仕上げ、Bさんは150点しか仕上げられなかったのに同じ給料。1日の差30点。Aさんの1時間分の処理点数なので、Aさんは1時間損した気持ちになる。当然あほらしくなって辞めたくなる。Aさんが辞めたいと言ったらどうする?時給を上げる?
しかし、一方的にBさんの生産性を責められない。Aさんの処理は早いが、雑な仕上げ。対して、Bさんは、誰もが敬遠する綿・麻製品や、デザインの凝ったブラウスやワンピース等も綺麗に仕上げる。誰もやりたくない仕事をBさんがカバーしている。なのに「遅い」と言われると理不尽さを感じ辞めたくなる。
さあ、どうする?生産性を重視するならAさんを引き留めなければいけないし、品質を重視するならBさんを引き留めなければいけない。ほんま、思案のしどころやね。
工場運営を表面上の数字でしか判断できない経営者や工場管理者は、処理点数の多いAさんを選ぶ。安売りセールをして多くのクリーニング品を集めれば、売り上げが増え儲かると思い込んでいる。量産に有利な「処理数至上主義」だからね。しかし、そうこうしているうちに処理はできても品質はどんどん低下し、客離れが起こっていく。おめでたいことに、客離れの原因は物価高騰にあると思い込み、再三再四安売りセールを繰り返す。安売りセールをすれば、その時だけクリーニング品が一気に増えるので人は減らせない。結局、余剰人員を抱えることになる。人件費は膨らみ、安売りセールで儲けは萎む。故に経営は疲弊し、工場従事者に最低賃金か、もしくは数十円上乗せ位しか支給できない。
「こんなに一生懸命仕事をしても、給料が上がらないんじゃあ、将来に希望が見えない」と言って辞めていく。生産性の高い人材も、良い品質を生産できる人材も、両方無くすことになる。
「誰」が、「どのポジション」で、「どんな品質」を、「どれだけ生産」しているのかということを「工場内問題整理」のひとつとして常日頃注視していると、人員配置の適正化ができ、余剰人員のない、風通しの良い、働きやすい工場になりそうやのにね。そしたら、余剰人員カット分を給料に上乗せでき「退職理由」のひとつがなくなるやん。最高やね。
では、このへんでごめんやす。
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